クラウド会計を使えば税理士は必要ない?
ソフト会社などの謳い文句でこういった言葉を目にすることがあります。
クラウド会計の発達により大きく効率化された部分もあり、一般の方でも使いやすく便利になってきているのは事実です。
そうであれば税理士に依頼する必要はないのか?ということについて、私の考えを書いていきたいと思います。
自動化やAIによる処理を過信しすぎてはいけない
クラウド会計ではネットバンキングやクレジットカード・電子マネーなどの取引は、連携設定を行えば自動で会計ソフトに取り込みを行ってくれます。
日付・金額・内容についてはそのまま漏れなく取り込み可能で、勘定科目についてもある程度推測したものを表示してくれます。
この勘定科目の推測についても仮に間違っているものだった場合、自身で自動仕訳ルールを設定すれば次回以降は学習してくれて正しい処理を行ってくれるようになります。
であればこの取り込みさえちゃんとしれいてば、会計処理はしっかりと出来ているのかというとそうでもありません。
よくクラウド会計を使っているので会計処理はちゃんと出来ていますとご相談に来られる方がいますが、確かに取り込み漏れがなければしっかりと経費は計上されているのですが、貸借対照表の方がぐちゃぐちゃになっているというケースは多々あります。
一番よくあるのは現金残高がマイナス(もしくは異常なプラス)になっているケースですね。
なのでクラウド会計による処理を行っても、同時に正しくチェックできる方法も知っておかなければなりません。
クラウド会計では簿記の知識はいらないと言われることがありますが、最低限の知識がなければ間違った状態というのにも気付けないのかと思われます。
消費税の処理でさらに複雑に
昨年10月からスタートしたインボイス制度により、消費税の処理はさらに複雑化してきております。
2割特例が使える内や簡易課税を選択される方はまだ処理が簡便ですが、原則課税で処理される方はますます大変です。
クラウド会計を利用してこういった消費税の処理は適切に行えているでしょうか?
例えばのケースで電子マネー(もしくはクレジットカード)で、コンビニで買物をしたとします。
クラウド会計なら電子マネーの明細を拾ってくるので、そちらで日付・金額・店名は自動取り込みができます。
ただコンビニで売っているものは様々であるため、コンビニというだけでは勘定科目も消費税率も特定することは出来ません。
食べ物・飲料を買った場合は8%、文房具などの消耗品は10%、レジ袋は10%など色々なケースが考えられます。
仮に8%のものと10%のものを一緒に買物した場合は分けて仕訳する必要があります。
コンビニだとほぼありますが、インボイス番号の有無も確認しないといけません。
これを自動取り込みだからとレシートも見ずに処理してしまうと間違った処理になってしまっているということです。
なのでこういったケースもあるということも念頭に、日々会計処理を行う必要があるということです。
出来る方にはご自身での申告をおすすめしている
色々と書いてきましたが、では税理士に依頼しないと出来ないのかと言われればそうではありません。
私自身も個人の確定申告につきましては、出来る方にはご自身で申告されるのをおすすめしております。
上記に書いたようなチェックの仕方など、要所要所を押さえておけばある程度しっかりとした申告書が作成できるようになるかと思います。
知らないままだとずっと気づかないでズレ続けているというような申告書も見たことがありますので、一度知識として知っておくということが重要だということです。
当事務所では顧問契約まではいかなくとも単発でのスポット相談もお引き受けしておりますので、そういった場合にはご相談くださいませ。
ただある程度の規模になってきたり、法人化したりした場合は中々ご自身で処理をすることも難しくなってきますので、そういった場合には顧問契約などさらなるサービスも検討されても良いかと思われます。