自計化と記帳代行

2023年9月7日

HPのお知らせにも書いた通り、最近記帳代行のご依頼が立て続けにあり記帳代行のお仕事もお引き受けするようになりましたが、自計化と記帳代行どちらのほうがいいのか私のスタンスも踏まえて書きたいと思います。

自計化とは

これから起業をしようとする方や、今まで経理の仕事をしたことがなかった方などは少し聞き慣れない言葉かもしれません。

自計化とは、簡単に言うと自社で経理を行うことです。

請求書や通帳の内容、領収書の経費などを会計ソフトに入力して、ご自身で帳簿の作成が出来るようになるということです。

記帳代行とは

記帳代行とは文字通り記帳作業(会計ソフトへの入力)を外部に委託することです。

記帳代行は税理士事務所だけでなく他の会社でも行っていることがあります。

これは私見でもありますが、記帳代行とはいえ日々の入力をする際に消費税の処理を始め税務判断は少なからず含まれていますので、税理士有資格者以外が行うのは税理士法違反であると考えます。

前回の顧問料のお話でも触れましたが、安さには理由があるということにも繋がる話です。

それぞれのメリット・デメリット

・自計化のメリット

 日々入力を行っていれば直近の業績を常に見ることが出来る

 今後の方針や利益対策についてもスピーディに対応できる

 自社で入力しているので数字に実感が湧く・意識が高まる

・自計化のデメリット

 ある程度知識のある経理の方が必要

 経理負担が生じる・人件費も増える

 法改正があった場合などは知識の習得が必要

 

・記帳代行のメリット

 丸投げできるので自社で経理体制を整える必要がない

 会計に時間を割かなくていいので、その分本業に集中できる

 法改正などあっても専門家に任せておける

・記帳代行のデメリット

 出来上がった数字を見るだけなので、その数字に実感が湧きにくい

 試算表が出来るのにタイムラグが生じるので、今後の対策を取るときに少し遅れる

 記帳代行の依頼料がかかる

どちらが良いのか

私の基本的な考え方としては、自計化出来る会社は自計化を推進しております。

一番の理由は、自計化のメリット部分に書いてあることを身に着けていただくことで未来に目を向けた経営を行うことが出来るようになりますし、税理士としてもただの会計チェックや税務書類作成ではなく、その先の仕事を行えるようになり双方良しの状態が作れることになると考えております。

ただインボイス制度の開始や世間の人材不足などを鑑みるに、記帳代行のご依頼は今後も増えてくると見込まれます。

中小企業や個人事業では経理体制を自社内で構築することが出来るというところは意外と多くなく、そういった会社様にとっては記帳代行の方がベストな選択肢になり得ると思います。

どちらが良い悪いではなく会社の事情に応じた最適な選択を取っていくのが、今後必要になっていくのかなと感じております。

おわりに

自計化するにせよ記帳代行を依頼するにせよ、もっとも重要なのは経営者の方が自社の数字をしっかりと把握できている状態を作るということです。

会計はもちろん利益を計算して税金を計算するという側面もありますが、自社の現在の経営成績を正確に把握し、今後の運営にどう役立てるために行うものです。

そのためには数カ月分や1年分を一気にまとめて行うとかではなく、適時適正に行うことが望ましいです。

自社の数字を把握しないまま経営を続けるのは、財布の中身を全く知らないまま買い物をしに行くようなものです。

これは今まで経験した中での持論ではありますが、会計が適当であったり経理に任せっきりで社長が数字をしっかりと把握していない会社は波があり経営が安定しておらず、社長がしっかりと自社の数字を理解し言葉にできる会社はほぼ例外なく経営がうまく行っていると感じます。

数字の重要性を如何に理解するかが、経営にとってとても大切なことです。

我々税理士の仕事は経営者の方に数字に強くなって頂くというのが、最初の一歩であると考えております。

税理士

Posted by 佐藤 真一